347「自立」は「依存」の対極

障害と経済を研究する 松井彰彦さんが

障害の当事者研究の第一人者・熊谷晋一郎さんからきかれた談話を読みつつ

思うところがありました。

熊谷さんは、生後脳性まひとなり以来車椅子の生活で

母親の強い情熱で健常者と変わらぬ教育で育てられ鍛えられてきたそうです。

ところが、大学生になり親の反対を押し切り、単身上京。

18才でひとり暮らしを始めたとき、「自立した」と感じたそうです。

さまざまな支援が必要な彼のような人にとって

「自立」と感じたのはなんだったのか?

 

宮沢賢治の童話「なめとこ山の猫」にこんな話があります〜

猟師の小十郎が命がけで取ってきた熊の毛皮を

強欲な商人が二束三文で買い取る話です。

小十郎は毛皮をこの商人に売る他に方法を知らず、

彼の生活が商人に「依存」してしまっている。

 

商人の強欲が問題なのではなく、市場がなく

小十郎に選択肢がないことが問題で、

そのことを知っている商人はそれを利用しているんだ、と

熊谷さんは言いました。

市場の特質は、よかれあしかれ、そのしがらみのなさにあり、

特定の誰かと強い依存関係に陥ることがありません。

数多いゆるいつながりに支えられた生活、これが市場経済の本質なんだと。

「依存先が充分に確保されて、

特定の何か、誰かに依存している気がしない状態が自立だ」

「たくさんのものに支えられている状態が自立である」

 

話は「障害者にとっての自立」でしたが

「女性にとっての自立」とも置き換えられる話で

多くのヒントをいただきました。

 

たった一人の扶養者を命綱のように頼って

それに依存しなくてはならないような

税金や年金の制度に違和感を覚えつつ

選択肢のある「自立」の道を模索し続けています。

 

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